すでにアンナ・マグダレーナ・バッハ(以下AMB)及びケルナーの筆写譜、バッハ自身による第5組曲のリュート編曲版、C資料はカラー版ファクシミリになっていたが、ついにD資料(18世紀末の筆写譜)もカラー写真版になった。
http://search.obvsg.at/primo_library/libweb/action/dlDisplay.do?institution=ONB&vid=ONB&onCampus=false&lang=ger&docId=ONB_aleph_onb06000461828
(上のページ右にあるサムネイルをクリックすると楽譜が見れます)
これで無伴奏チェロ組曲に関するすべての筆写譜及び自筆譜がカラー化され、インターネット上で誰でも見ることができるようになったのである(資料については「バッハへの道」参照)。
実際のところ、これまで流通していた白黒のファクシミリは裏写りがひどかったり、細部が確認しづらかったり、時には部分的に画像が飛んでいたりで、精緻な研究には耐えられないものだったのである。AMBの筆写譜など1927年(!)のアレクザニアン版に使われたものがそのまま新ベーレンライター原典版(2000年)にまで使われていたのである。
トルトゥリエ版を持っている人なら、第2組曲ジーグの第69小節(終わりから8小節目)の頭の音にフラットが無いことを不思議に思ったことがあるかもしれない。しかしこれはトルトゥリエが間違えたのではなく、AMBの白黒ファクシミリではこのフラットが飛んでいるのである(ただし演奏ではちゃんとフラットを弾いているが)。
ぼくも横山版を作り始めたころはまだカラー版が無かったので、このフラットを書かなかったのだが、ほどなくカラー版が公開されたため修正したのである。ケルナーなど新ベーレンライター原典版の資料では時に裏写りがひどくてほとんど読めなかったのだ。
ケルナーの筆写譜より、第3組曲サラバンド、白黒版
同カラー版、余談だが3段目、1小節目と2小節目の間、原曲の5小節分が抜け落ちている。
本当に幸いなことに、カラー版の公開と横山版の作成とが同時進行したのである。横山版はこれら最新の資料なしでは完成しなかったのである。これからまだまだ新たな発見があることだろう。
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