先に第1組曲のプレリュードが、なぜ42小節でできているかについて説明した。
→ バッハのカレンダー
ところで無伴奏チェロ組曲にはもうひとつの「42」があるのだが、お気付きだろうか?
これは簡単なのですぐにわかる人もいるであろうし、わからない人は楽譜を手にしてみると良いだろう。
そう、それはこのチェロ組曲全体の曲数なのである。
一つの組曲は、プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、メヌエット(又は、ブーレ、ガヴォット)1、 メヌエット(又は、ブーレ、ガヴォット)2、ジーグ、の7曲でできている。しかもそれが6組あるわけで、7x6で、またしても42になるのである。
そして注意してほしいのは、なぜ各組曲の5曲目と6曲目が、第1と第2組曲がメヌエットで、第3と第4がブーレで、第5と第6がガヴォットというように、2組曲ずつのペアになっているのかということである。
もう「バッハのカレンダー」を理解した人ならわかるだろうが、これによってメヌエット入りの組曲は全14曲になり、以下ブーレ入り組曲、ガヴォット入り組み曲もそれぞれ14曲ずつになり、ここに再び14x3、すなわちバッハ(14)が神(3)の栄光を賛美するということが数字で表されるのである。
つまり、第1組曲のプレリュードの小節数14x3と、チェロ組曲全体の曲数14x3が相似形になっているのである。
このような関係はご存知のとおり「平均律クラヴィーア曲集」第1集にも見られる。
すなわち、第1番(ハ長調)のフーガのテーマは24回登場し(やや無理やり詰め込んだ感があるが)、そのことによって、これからこの曲集が24の調で続くということを予告しているのである。
バッハは神の栄光を讃える二つの「42」という土台の上に、無伴奏チェロ組曲を築き上げたのである。
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